川崎市 総務企画局 情報管理部 システム管理課様
GIS構築への取組み・運用に約30年の歴史を持つ川崎市は、思うように庁内利用が進まなかった旧GISのリプレイスを実施。蓄積された既存の情報資産を有効活用し、多業務への利用を展開して150万人都市の政策立案、意思決定への活用、市民サービスの向上を目指しています。
お客様プロフィール
人口:1,523,311人(令和3年(2021年)9月現在)
世帯数:770,468世帯(令和3年(2021年)9月現在)
面積:144.35k㎡
職員数:18,394名(令和3年(2021年)4月現在)
所在地:〒210-8577 川崎市川崎区宮本町1番地
TEL:044-200-2111(代表)
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公開型GIS「ガイドマップかわさき」へ
大正13年(1924年)に神奈川県下3番目の市として誕生した川崎市は、昭和47年(1972年)、政令指定都市に認定。首都圏の中心に位置する立地優位性、交通利便性に加え、成長産業が集積する活力ある都市として発展を続けています。全国的に人口が減少傾向の中、平成29年(2017年)4月には人口が150万人を突破しました。
導入の背景
神奈川県の東端に位置し、東京都に隣接する川崎市は、GIS構築への取組み・運用に長い歴史があり、初期のホストコンピュータによる都市計画情報システムの運用から、PCベースのC/S型への移行を経て、システムの老朽化を機に再度リプレイスを検討することになりました。
旧システムは、地図専用端末での運用であったため、一般職員が気軽に使うことが少なく、思うように庁内のGISの推進が図れない状況でした。
そこで、旧システムの利用課、閲覧希望の多い地図データを所管している部署等を参画メンバーとした地図情報システム検討部会を設置、旧システムの課題、解決策等の整理を行いました。
新システム導入の基本的な考え
新システムの導入にあたっては、一般職員の端末で動作可能で、利用しているソフトのように操作でき、GISに馴染みのない職員にとっても分かりやすいインターフェースであることを重視しました。また、高度な分析機能も実装し、政策意思決定への活用も見込みました。
運用面においては、職員が運用しやすいWeb方式のシステムで、バージョンアップによる拡張が可能であるパッケージ製品であることを要件としました。
各社提案やデモンストレーションを実施し、内容の精査及び比較検討を行った結果、インフォマティクス社の最新の統合型GISパッケージを導入することに決定しました。
システムの特徴
新システムでは、地図表示や地図データの読み込みが以前より速くなり、一般職員の端末でも利用できるため、職員により親しみやすいものとなりました。
わかりやすいメニュー構成であるため、操作の習得が容易で、印刷機能をはじめ、高度利用にも対応可能な機能が実装しており、期待通りのものとなっています。
川崎市地図情報システム|運用の経緯
- 平成元年(1989年):ホストコンピュータによるGISの導入
- 平成2年(1990年):GISのオープン化に着手
- 平成13年(2001年):旧システムの運用が開始
- 平成21年(2009年):検討部会の設置
- 平成22年(2010年):リプレイス内容の検討
- 平成23年(2011年):川崎市統合型地図情報システムの開発
- 平成24年(2012年):川崎市統合型地図情報システム(マップスかわさき)の運用開始
システム構成図
そのほかの主な庁内システム
川崎市では、上記システム構成図の通り、各課でGISが利用されています。
まちづくり局 計画部 都市計画課
用途地域等の都市計画の決定等の業務を行う都市計画課では、来庁者に対して、タッチパネルシステムで都市計画情報を提供するほか、用途地域や規制情報を市民向け公開型GIS「ガイドマップかわさき」でも提供しています。
電話での問い合わせに、一般職員が利用しているPCでGISを使って迅速に回答できるようになり、窓口での業務負担を軽減、市民サービスの向上を図ることができました。
庁内に設置されたタッチパネルシステム
市民文化局 市民生活部 戸籍住民サービス課
戸籍事務、住民基本台帳等に係る業務を行っている戸籍住民サービス課では、建築物の新築や除却、住居番号の設定等の届出の受付・情報入力作業をしている住居表示台帳システムとして、GISを利用しています。
システム化以前は、紙台帳を参照しての対応となっており、回答までに時間がかかっていましたが、システム導入後、開示請求・市民・区役所内からの問合せ等いずれに対しても時間を短縮することができ、業務効率化を実現できました。
また電子化により、バックアップ体制を確立、破損・紛失からの復旧が可能となっています。
まちづくり局 指導部 建築管理課
建築確認行為に係わる業務を行っている建築管理課では建築計画概要書等の各種証明書の発行に「開発指導支援システム」を導入。
職員が当該物件を割出し、概要書の発行を補助していたものを、市民がタッチパネル端末を利用し、セルフ方式で発行できるようになりました。
環境局 環境対策部 環境保全課
土壌・地下水質・有害物質使用事業所等に関する報告書を管理している環境保全課では「土壌情報管理システム」により、規制区域や影響範囲を地図上で視覚的に推測できるようになりました。
総務企画局 情報管理部 統計情報課
国勢調査等各種統計調査を行っている統計情報課では、調査区要図作成システムを導入しています。
一括印刷等により印刷時間の大幅短縮を実現。精度の高い要図を速やかに印刷できるようになりました。
その他、総合防災情報システムを運用している総務企画局危機管理室では、管理している避難所・防災施設・ハザードマップ等の情報を公開型GIS「ガイドマップかわさき」で市民向けに公開しています。
ガイドマップかわさき画面
今後の展望
新システムについて、職員からは豊富な機能が実装されており、便利そうだが、まだ使いこなせていないとの意見があるため、システム管理課では活用相談会等を実施しています。
今後は、さらに庁内のさまざまな業務へのGISの活用を試み、業務効率化を図るほか、蓄積されてきた共有空間情報資産を活用し、政策立案や意思決定に利用するなど一層の市民サービスの向上を目指していきたいと考えています。
<地図データ出典> ©︎OpenStreetMap contributors 記載されている会社名、製品名は各社の登録商標または商標です。
本記事は2022年1月現在の情報を元に制作されたものです。閲覧時には変更されている場合がありますのでご了承ください。