宮崎県宮崎市 建設部 道路維持課
問い合わせ1件あたり30分かかっていた対応が、わずか数分に短縮。全員参加型のしくみ作りを取り入れた道路情報システムの構築により、道路維持課では、作業やコストの軽減、情報の鮮度と精度の維持が実現された。
お客様プロフィール
人口:367,968人
面積:596.80k㎡
所在地:〒880-8505 宮崎県宮崎市橘通西1丁目1番1号
TEL:0985-25-2111(代表)
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大正13年の市制施行以来、度重なる編入合併により人口、面積を拡大していった宮崎市は、日向神話の舞台として多くの神話伝承地を抱え、昭和40年「日本のふるさと観光文化都市」を宣言したまちである。
温暖な気候に恵まれ、「太陽と緑」に象徴される国際観光リゾート都市としても発展を続け、政令指定都市に次ぐ事務権限をもつ中核市に移行した。今後もより一層市民に密着した市政を目指し、九州の中核都市にふさわしい特色あるまちづくりを進めていくことを目指している。
導入の背景
当初、地図の統一化を目指してGISの導入が検討されたが、情報更新の点でどの部署も消極的であり、GIS化は進まなかった。そんな中、GIS化による業務効率の改善、作業軽減を目指して、道路維持課で導入が進められた。
導入前の課題
- 情報が一元化されていない
- 調べたい書類の所在が不明確
- 市民からの問い合わせの対応に時間がかかる
- 情報を職員の記憶に頼っている
- 道路網図が単色のため視覚的に評価できない
- 道路図の台帳が大きいため手軽に利用できない
- 年々増加する図面を保管しておくスペースがない
導入検討時の目的
- 図面が大きく見られること
- 図面の動きがスムーズであること
- 操作が容易であること
- 操作マニュアルが不要であること
- マウスのみで操作が可能であること
- 図面印刷が容易であること
- 図面利用が広がること
- 既存の図面を流用できること
- 導入費/更新費が安価であること
- 将来的に全庁拡張利用ができる内容であること
- 庁内でデータ共有できること
- 空レイヤを作成し、絵を描いて簡単にデータ入力できること
- 自分だけのマイレイヤー情報を公開し、それを他人がコピー利用できること
- マイレイヤー属性に検索能力があること
- 合併後道路台帳図が速やかに統合されること
運用
膨大な図面をどう表示するかが懸念されたが、背景は予想以上の描画スピードを実現した。主題図は、ベースデータセット(BDS)ファイルで管理した。
- 1/500道路基図ラスター ・・ 1,650面(630MB)
- 1/500道路清絵図ラスター ・・ 1,650面(630MB)
- 1/2500都市計画DM ・・ 106面(720MB)
- 管理路線 ・・ 2,354Km
- 構造物 ・・ 1,037箇所
- システムの概要
以下のような機能装備により、当初の導入目的はほぼ達成された。
- CRTの大型化 → 図面を大きく表示
- ダブルクリックによる図面の中心移動 → 操作が迅速
- 操作内容のアイコン化、マウスホイールでの拡大縮小表示 → マウスのみによる操作
- 検索機能(マウスクリック3回までで可能)
- プロッター印刷 → 大図面印刷が簡単
- JPEG、TIFF形式への図面書き出し → 図面利用が広がる
- 既存図面をコピーして貼り合わせ、システムを構築
- 表示図面を細かく刻んだ → 動きがスムーズ
- 更新図面のみの差し替え → 更新費の軽減
- データ共用化 → 全庁的な拡張利用
- マイレイヤーの構築 → 自分のマイレイヤー情報を公開し、それを他人がコピー利用
- 合併後の道路台帳図の統合が容易
- それぞれのデータに 対して簡単に属性を付けることができるので、例えば環境業務課のデータを検索すると、ごみ収集日、デイケアセンターの登録受付日、施設の休館日といった詳細情報を閲覧できると同時に、そういった情報を簡単に入力することができる。
システム利用例
構造物/路線/舗装情報の検索/照会
コスト軽減のため各自で情報入力(緑地帯/ミラー/街灯の入力)
経年変化の比較
合併後の道路台帳図
属性の設定
マイレイヤー公開情報どうしを結合
導入効果
個々が情報発信するための「マイレイヤー」というしくみを作ったことで、皆がシステムを使い、情報発信できるようになったことが大きいという。
完成したシステムは、操作性、費用対効果が高く、更新費用軽減にも貢献。2005年9月に発生した台風14号により大きな被害を被ったが、その際もマイレイヤーを活用し情報が最新状態に維持されていたことで、迅速な対応に大いに役立った。
- システムの利用率が向上した
- 業務効率が向上した
- コストが軽減され、費用対効果が向上した
- 他部署の情報を簡単に結合できるため、部署間の関係が密接になった
- 問い合わせに対して迅速に対応できるようになり、職員のストレスも軽減した
- 現場での判断が迅速に行われるようになった
- 地元企業との連携にも発展した
今後の課題・展望
宮崎市は、2008年4月よりコールセンターを導入する予定である。市道名や市道幅員等の問い合わせに対し、コールセンターで対応してもらう形で現在準備を進めているが、現在のマイレイヤーをそのまま利用するため、新たな投資は必要ない。
さらに、コールセンターで受けた市民からの道路情報が道路情報システムで一括管理され、地図と情報内容が道路維持課に通報されるしくみを、マイレイヤーを利用して構築中である。