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公開型GIS|戸田市立戸田東小学校 社会科授業での活用事例

戸田東小学校様

戸田東小学校では、小学校3年生の社会科授業で戸田市の公開型GIS「いいとだマップ」を取り入れた授業を実施。

1人1台配布されたノートPCで、市が独自に整備したコンテンツを使って、生徒が自発的に調査するカリキュラムを実践しています。

お客様プロフィール

  • 所在地:〒335-0011 埼玉県戸田市下戸田1丁目3−3
  • 設立:1963年設立。2021年より戸田東中学校との施設一体型の小中一貫校として開学
  • Webサイト:https://www.toda-c.ed.jp/site/todahigasi-e/

戸田市立戸田東小学校は、2021年度より、市内初の小中一貫校として設立されました。

完成したばかりの真新しい校舎には、小学生約1,116名、中学生約408名の生徒が通学しています。

戸田市は、2019年(令和元年)に開始された政府の「GIGAスクール構想」(全国の児童・生徒1人に1台のコンピューターと高速ネットワークを整備する取り組み)以前から、ICT教育にいちはやく取り組んでいる先進的な自治体として有名です。

戸田東小学校でも2021年2月末までに全校生徒へのPC配布が完了し、積極的にICTを取り入れた授業を行っています。

背景|GIS導入前の課題

3年生から始まる社会科の授業では、「人々の暮らしの移り変わり」という単元で、自分たちが住む市の交通や公共施設、土地利用や人口などについて調べることが学習内容に含まれています。

通常、先生が用意した地図や画像の紙資料や、副教材のテキストをもとに授業を実施することが多かったのですが、

  • 資料の事前準備に時間がかかる
  • 決まった資料でしか話題が展開できない
  • 資料が少ない

といった課題がありました。

いいとだマップを授業に取り入れたきっかけ

戸田市で配布されている第3・4学年社会科副読本「わたしたちのとだ」には、市のことを調査するWebサイトとして、戸田市に導入されている公開型GISいいとだマップhttps://e-toda.kukanjoho.jp/)が取り上げられています。

戸田東小学校の3年生の授業では、令和2年度(2020年)より、いいとだマップを用いた調査学習を取り入れており、令和3年度(2021年)からは、ノートPCが全生徒に配布されたこともあり本格的に利用することになりました。

授業内容

戸田東小学校3年生6クラスのうちの1つ、山下先生の授業では「交通の発達で戸田市にどのような変化があったのか」という課題に取り組みました。

もともと農業が主要産業だった戸田市は、1960年代に市内を縦断する国道とバイパスが開通すると、都心部へのアクセスの良さという地の利を活かした倉庫業が発展。

さらに、高度経済成長期から現在にいたるまで、ベッドタウンとして人口が増え続けてきた市です。

先生は「新大宮バイパス」と「土地利用」について、各自で調査してみることを提案。

事前授業で、調査ツールとして副教材のテキストやWebサイトでの検索以外にいいとだマップを提示されていた生徒は、使い慣れた様子でいいとだマップを開き、配布された自分用の端末で調べます。

バイパスの位置を拡大縮小して確認したり、いいとだマップのデジタルフォトギャラリーのページを開き、クリックして昔の写真を見てみたり。

配布PCにあるタイピングソフトで鍛えたキーボード入力も手慣れたものです。

その後、生徒は
「昔は道路に柵がないけど、今は柵がある」
「建物が古くて洗濯物干せるくらいの庭や場所があった」
「小学校の周りは今は家ばかりだけど、昔は田んぼが多かった」
など、各自発見したことを思い思いに発言しました。

※画像を一部加工しています。

※画像を一部加工しています。

最終的には、便利、人口、農地、倉庫というキーワードを使った文章をノートに書き、先生が戸田市の交通の発達と人口の変化について総括するという内容でした。

授業の成果

山下先生によると、「人々の暮らしの移り変わり」という単元で20時間(1時間の授業は45分)の授業を行い、そのうちの5時間の授業でいいとだマップを使用したとのことです。

最初の授業で「いいとだマップを好きに使ってみよう」という内容にしたところ、生徒はとにかく感動した様子で、1時間で使い方をマスターしてしまったとのこと。

3年生の山下先生以外のクラスでも同様の反応だったそうです。

最終的にはクラス毎に、戸田市の今昔年表を作ったり戸田市についての壁新聞を作るなどのアウトプットを検討しているそうです。

ICTを用いた授業の効果

山下先生によると、今回の授業単元である戸田市の交通発展、戸田市の今・昔については、いいとだマップに十分な素材があるため準備時間を圧倒的に減らすことができたとのことです。

さらに、紙をプリントして配布する必要がなくなったのもICT教育ならでは。

紙面の都合で教科書にはそれほど資料が載っていなくても、生徒が自発的に調べる姿勢ができつつあると感じたとのことです。

GISに関しては、例えば公共施設、町並み、交通などのテーマ(主題)ごとに地図を表示・非表示でき、各テーマに焦点をあてて表示できるのでわかりやすい、と感じたそうです。

戸田市内の小学校は1人1台PCが配布されているので実施できた部分もあるかと思いますが、まだICT化が進んでいないところでも、今後PCが行き渡った際にはぜひ取り入れてみたら、とのコメントをいただきました。

公開型GISとは

用語解説

「GIS」とは、 Geographic Information System(地理情報システム)の略です。

今まで紙で扱っていた地図をデジタル化し、システム上で各種地図を重ねて表現できるほか、検索や計測などができる仕組みです。

「公開型GIS」とは、主に行政機関で運営されているものを指し、独自の行政情報を公開したり、地域のPRコンテンツ等も発信できるWebGISサービスで、ブラウザさえあれば簡単に利用できます。

いいとだマップ

いいとだマップは平成15年(2003年)から運用を開始した公開型GISです。

導入当時システム導入を担当され、現在は戸田市役所 教育委員会事務局 教育総務課に所属の坂成様によると、市関係課の協力もあり、導入当初の9項目のコンテンツから35項目のコンテンツへと内容がさらに充実しているとのことです。

追加コンテンツのアイコンはデータを整備した各課に決めてもらっているとのことで、システム導入課以外の庁内関連部署と調整し、コツコツ集めてきた成果といえます。

現在のリニューアルサイトがオープンしたのは2年前。坂成様によると、授業での活用は大変喜ばしいことで、さらに利用シーンが増えていくことを期待している、とのことでした。

まとめ

今回実際の授業を見学させていただき、いいとだマップがご関係者や先生方の手で十分に活用されている様子を知ることができました。

いいとだマップが戸田市に導入され、長い年月の中で、内容が充実し教育現場でも活用していただけるようになったのも、ご関係者の協力あってこそと感じました。

本記事は2022年3月現在の情報を元に制作されたものです。閲覧時には変更されている場合がありますのでご了承ください。

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