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静岡県磐田市消防本部様の事例:水利充足率調査の工数を1/20に削減。消防地図クラウドを起点に消防業務のDX化を推進中!

磐田市 消防本部 警防課 警防企画グループ
伊藤隆様

磐田市消防は、静岡県磐田市全域を管轄区域とし、火災や事故、災害などから地域住民の安全を守る活動を日夜行っています。

2022年、同消防本部は消防水利充足率の算定を自動化するクラウド型のシステムを導入。3年に1度実施される充足率調査の作業工数を大幅に削減されました。

これまで地方自治体で税務や病院の業務に携わりDX化を進めてこられた伊藤隆様に、消防地図クラウド導入の背景や効果、今後の展望についてお話を伺いました。

お客様プロフィール

磐田市消防本部

磐田市消防本部

所在地:〒437-1292 静岡県磐田市福田400 福田支所内
管内人口:167,419人
管内面積:163km2
消防本部数:1
消防署数:1
分遣所数:5
URL:https://www.city.iwata.shizuoka.jp/shoubou_honbu/
※令和5年2月現在

導入前の課題

磐田市消防本部では、3年に1回行われる消防水利の充足率調査において、市街地情報や水利位置を1/2500の地図に手作業で書き込んで算定していました。

作業には毎回2人で1ヶ月かかり、大変なわりに実益が少なく、何とか効率化できないかと考えていました。

また、前回の調査資料を参考に作業するものの、担当者によってメッシュの作成方法に差が出たり、人口動態を正確に反映できなかったりと調査精度に偏りが出る可能性があることも課題でした。

導入~運用までの経緯

  • 令和3年(2021年)9月
    予算要求
  • 令和4年(2022年)4月
    システム選定・導入

システム選定のポイント

消防水利充足率の自動化については複数のベンダーから提案を受けており、仕組みは大きく以下の3種類に分けられました。

  • メッシュ作成までを手作業で行い、それをGISに取り込んで水利位置を自動で認識して充足率を判定するもの
  • 市街地と準市街地の設定までを手作業で行い、メッシュ作成と水利位置を自動で認識して充足率を判定するもの
  • 市街地と準市街地の設定から自動化するもの

上記3番目(市街地と準市街地の設定から自動化)が行えるシステムはインフォマティクス提供のシステムのみであったため、本システムを導入することにしました。

導入費が非常に安価であったことも、本市のDX推進部門や財政部門の理解につながりました。

メッシュ作成は他社システムにも実装例があり、それほど難しいものではないと判断しましたが、市街地と準市街地の設定を本当に自動化できるかは半信半疑だったためサンプルデータの検証は必須でした。精度が低い場合には導入見送りも十分にあり得ました。

当初提示されたサンプルは、本市よりも人口規模(密度)の大きい自治体でのアルゴリズムを採用していたためか、準市街化区域の設定が足りないとの違和感を覚えました。本市には合計人口が1000人に満たない100区画程度のミニ造成が田んぼの真ん中にあり、それが準市街地から抜け落ちていたのです。

インフォマティクスの担当者にパラメータの変更を相談したところ、迅速に対応してもらえ、上記の違和感は大きく改善しました。

その後、手作業で作成した3年前の地図と重ね合わせてみたところ、一部相違点があるものの、概ね納得できる精度であるとの結論に達して導入を決めました。相違点の中には、明らかにシステムによる自動判定のほうが正しいと思われる箇所も複数ありました。

運用状況

充足率の算定については、事前検証のとおり、用途地域データと最新の水利データをインフォマティクスに渡すだけで、すぐにメッシュ地図(PDF)と充足率の値が送られてきました。

また、基準水利以下の水利(75Φ~150Φの消火栓や40m3未満の防火水槽)を含めた充足率や、40m3以上の耐震性貯水槽だけの充足率も併せて計算してもらったので、令和4年12月20日に水利基準の緩和が閣議決定された際も、そのシミュレーションをすぐに行うことができました。

さらに、充足率算定のためのデータはPCやスマホから確認できるため、閲覧専用のアカウントを作成してもらいました。本市の消防団は、水利位置を紙地図で確認していましたが、閲覧専用アカウントを公開することで、有事の際や訓練時に自分のスマホから水利情報を確認できるようになりました。

本部所属の自分が水利点検に行く際にも、巡回しながら水利情報をすぐにスマホで確認できるのでとても重宝しています。

導入効果

本システムの導入により、2人で1ケ月かかっていた調査業務が2人で1日へと大幅に削減されました。

また、以下のような点で導入メリットを感じています。

  • 充足率の計算がすぐにできること
  • 客観的なデータで継続的に比較できること
  • 水利情報をスマホですぐに確認できること
  • 同じシステムを導入している他の消防本部と比べてベンチマークできること
  • 様々なシミュレーションが容易に行えること

本システムは比較的精度の高い答えを非常に効率的に自動算定できるシステムです。

もちろんロジックが変わるため従前との比較では数値が変わる(磐田市消防本部は60.4%⇒74.4%)可能性もありますが、今後はデータの標準化が図られるため経年比較やベンチマークが容易になります。今後予想される基準水利の要件緩和にも即時対応可能となります。

本システムは水利位置や作成したデータをスマホで確認できるので、公用車で出掛けて水利を確認する際にも利用しています。3年に1度の作業時だけでなく、日常的にも利用できる便利なシステムです。

今後の展望と希望

大震災時に必要な耐震性貯水槽のみのメッシュについては、一律250mメッシュなど、もう少し粗いメッシュにして計算し、その率を計画的に上げることが現実的だと思っています。

今後、磐田市消防本部では以下を行っていきたいと考えています。

  • 近隣の消防本部や全国の同規模の消防本部にも導入された場合には、ベンチマークをして消防力の分析に活用したい。
  • 現在作成中の消防水利業務のガイドラインにも本システムのシミュレーション結果を反映させたい。
  • 希望:いくつかのシミュレーションパターンを登録して、ユーザーがいつでも簡単に実行できるようになるとよい。

この事例に関するソリューション・サービス

● 消防地図クラウド

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本記事は2023年3月現在の情報を元に制作されたものです。閲覧時には変更されている場合がありますのでご了承ください。

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