武蔵野市 総務部 情報政策課様
武蔵野市では2002年に導入したGISのリプレイスを実施。市の現状課題に対する入念なヒアリングとシステムの拡張性の高さが、新システム導入の決め手になりました。
庁内のデータのガイドラインを定め、リプレイスで大幅なコスト削減を実現したことで、導入の効果を実感されています。
お客様プロフィール
武蔵野市役所 庁舎(提供:武蔵野市) |
面積:10.98k㎡ 所在地:〒180-8777 東京都武蔵野市緑町二丁目2番28号 人口:148,241人 職員数:954名 世帯数:78,589世帯 武蔵野市ホームページ ※人口、世帯数は令和4年5月現在、職員数は令和3年4月現在 |
東京都のほぼ中央に位置する武蔵野市は、豊かな財政力に支えられながら、市民自治や成熟した文化、高い環境意識などが反映されたまちづくりを展開してきました。
市民参加と数々の先進的な施策は、多くの人々や自治体から注目を集めています。
緑豊かな住宅地と、教育・福祉・健康・文化・スポーツ・情報など生活型産業の高度な集積とが調和する近郊都市として、今も発展を続けています。
武蔵野市 総務部 情報政策課
半田 直利様 山本 茜様
※ご所属は取材当時のものです
導入前の課題
武蔵野市では平成14年度(2002年)に統合型GISを導入以来、サーバの更新を繰り返しつつ運用していました。機能面は基本的に変更しておらず、職員が効率的・柔軟にシステムを利活用できていない面がありました。
新システムの導入前、下水道、固定資産税、建築指導、道路、住居表示等の業務で個別GISを管理していましたが、情報政策課(当時 情報管理課)としては、全ての個別GISを統合できないにしても、仮想化基盤上に、一つのGISサーバを構築すれば、全庁利用やデータの利活用が進むのではないかと考えました。
同時に、個別導入された旧GISの維持管理費を見直し、今回のリプレイスにあたっては、導入経費のみならず、運用経費も適正化していく必要性も感じていました。
上記を踏まえ、庁内の複数部署で構成されるワーキンググループを立ち上げ、リプレイスの検討を開始しました。さらに全庁むけにGISへの要望を集めるアンケートを実施。次期GISに求めるものとして、「操作性・レスポンスの向上」、「利活用事例の紹介をして欲しい」との声が集まりました。特に直接業務でGISを使わない部署では、どうGISが役に立つかわからないとの意見がありました。
約1年ほどかけワーキンググループで議論を積み重ね、業者の選定を開始しました。
導入~運用までの経緯
平成29年(2017年) | 庁内ワーキングチームによる次期システム調達方針、仕様検討 |
平成30年(2018年)5月 | RFI実施 |
平成30年(2018年)12月 | RFP実施 |
平成31年(2019年)2月 | プロポーザル実施・新システム構築事業者決定 |
平成31年(2019年)4月 | システム構築開始 |
令和元年(2019年)9月 | システム稼働開始 |
システム選定したポイント
プロポーザルに際し、情報政策課の担当者は複数の会社にあたりつつ、インフォマティクス社が開催した自治体GISユーザ会に参加したり、自治体情報システム部門むけの展示会に参加するなど、自治体で活用される統合型GISについての理解を深めていました。
プロポーザルには4社がエントリーし、審査には複数のGIS利用部門の担当者が参加、市への個別GISは未導入だったインフォマティクス社が選ばれました。
選定理由は、RFI以前から市各課に入念にヒアリングし、課題を深く理解した内容の企画提案とデモンストレーションを実施し、追加の提案や価格点の評価が高かった点、また、システムは豊富な機能や初見でも比較的操作しやすいインタフェース、市の運用フローに柔軟に対応できる拡張性を備えており、完成度の高いシステムだと総合的に判断されました。
導入効果
旧システムでは、情報政策課でも庁内データの内容の把握が困難でした。新システム導入後はインフォマティクス社の協力も得て、各地図のレイヤ情報を整理し、庁内データのガイドラインを策定できた点に最も導入効果を感じているそうです。
また、基本操作を解説する動画や、年4回開催される個別相談会、常時ヘルプデスクなどインフォマティクス 社のサポートが充実していたこともあり、旧システムと比較し、庁内の利用者は増えたとのことです。
ユーザ数は令和4年5月現在で約1,300ユーザー/端末数は本庁 約950台、外局 約350台(外局拠点数は約40箇所)、同時アクセス 数は最大60ユーザーとなっています。
さらに、平成14年度の導入時コスト+5年間の保守費と比較し、ハードウェアの費用が占める部分を除いても、大幅なコスト削減を実現されました。
庁内利用イメージ
リプレイス時のポイント
リプレイス時に最も気を配った点は旧システムからのデータ移行でした。
スムーズなデータ移行には、新旧システム業者、ハードウェアやネットワークなどインフラ部分の管理業者との協力体制が必須で、これら業者との事前調整と準備が必要不可欠だと感じたとのことです。
導入時の担当者曰く、「GISの要はデータ。データが標準化され他システムとでもデータ交換しやすい仕組みがあればシステムの活用度も上がり、システム移行もスムーズに実施できると感じた」とのことです。
統合型GIS画面(地域生活環境指標)
地図選択画面
システム構成図
システム機能一覧
今後の展開
武蔵野市では「地域生活環境指標」という独自のデータを昭和48年より整備しています。これは市の福祉・教育・市民生活・環境・都市基盤など市民生活に関するさまざまな地域情報をまとめた冊子です。4年に1度のデータ更新時期のタイミングにも当たるので、この最新データもGISに掲載し、庁内ユーザへの活用を促したいとのことです。
情報政策課では、このデータのみならず、複数部署間でデータ活用方法を議論してもらうため、情報の橋渡しをし、より一層の業務効率化を図りたいとのことです。
また、市民の利便性向上やコロナ禍の状況を踏まえ、来庁せずに各種地図データを閲覧、印刷できる「公開型GIS」の導入も今後検討していきたいとのことです。
統合型GIS画面(ポータル画面)
本記事は令和4年(2022年)6月現在の情報を元に制作されたものです。閲覧時には変更されている場合がありますのでご了承ください。