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静岡県静岡市様の事例:既存の個別GISを活かして全庁DXへ。横断型データ活用で業務改善と市民サービス向上を実現

静岡市 総合政策局 DX推進課 地域デジタル化推進係 様

静岡市は、業務効率化や情報共有の強化、住民サービスの向上を目的として、統合型GISおよび公開型GISを導入。庁内データのさらなる集約やオープンデータ化を進めています。

本記事では、導入を推進された総合政策局 DX推進課 地域デジタル化推進係のご担当者へのインタビュー内容をもとに、静岡市における統合型GIS・公開型GIS導入の背景や取り組み、導入後の効果などをご紹介します。

 

お客様プロフィール

所在地: 静岡県静岡市葵区追手町5番1号
面積: 約1,411.93平方キロメートル
人口: 約66.5万人
世帯数: 約32.9万世帯
公式ホームページ: https://www.city.shizuoka.lg.jp/
※人口、世帯数は令和8年3月末現在

 

システム構成

静岡市のGISシステムの構成は以下のとおりです。

※統合型GISに移行した個別GISは他社製

 

導入の目的

静岡市では、以下を目的として統合型GIS・公開型GISを導入しました。

  • 個別GISの集約による、全庁的な地理情報基盤の整備
  • 個別GISの統合による行政業務の効率化とコストの適正化
  • 客観的データに基づく政策立案(EBPM)の推進
  • 住民サービスの向上と情報共有の強化
  • 防災・危機管理体制の高度化

庁内各部署で運用していた個別GISを集約し、職員が横断的にデータ活用できる環境を整えることで、業務改善と市民サービス向上の両立を目指しました。

 

導入の背景

統合型GISの導入に関する検討自体は、約10年前にも行われていました。しかし、当時は個別GISをすべて統合する方向で検討を進めた結果、要件が大きくなったことから、一度内容を整理し、導入を見送る判断に至りました。

その後も統合の考えは継続していましたが、令和4年の台風15号の対応を一つのきっかけとして、分野横断的な情報共有や迅速な状況把握の必要性が改めて認識されたことから、統合型GISの導入を本格的に進めることになりました。

 

導入に向けた取り組み

ヒアリングによる現状把握からスタート

統合型GISの導入に向けて、まずは各部署の個別GISの運用状況と機能の調査を実施し、システム移行の可能性を検討しました。

【調査内容】

  • 対象:個別GISの利用部署すべて
  • 方法:ヒアリングシートを通じた基礎調査
  • 項目:使用背景地図、レイヤ数、用途、個別GISの機能 など

スコープ設定と費用対効果試算の難しさ

全体方針について大きな反対意見はありませんでした。しかし、統合型GISに可能な限り多くの個別GISを取り込みたいと考えていたことから、統合後の機能や運用に関して「この機能は引き続き利用できるのか」といった確認が多く寄せられ、各部署との調整を行いました。

個別GISを統合型GISに移行できるかどうかは、採用するGISソリューションの仕様や、追加開発の要否・条件によって左右されます。そのため、スコープ設定や費用対効果の試算において、精査・検討・調整に時間がかかりました。

費用対効果の試算にあたっては、「標準機能で対応できるもの」「追加開発が必要なもの」「現段階では判断が難しいもの」といった区分で整理し、個別GISの機能を一つずつ確認したうえで、概算費用を算出しました。

 

導入前の課題

導入前は庁内の地理空間データが集約されておらず、全職員が分野横断的にデータを参照・活用できる共通のプラットフォームが存在していませんでした。そのため、データを確認するたびに、個別GISを所管する部署への問い合わせや現地での確認が必要となり、業務に時間を要していました。

 

重視した要件

統合型GIS

  • 幅広い部署の個別GISを取り込める柔軟性があること
  • GISを利用していない部署でも、手軽にレイヤを作成できること

個別GISをより多く統合することはもちろんのこと、全庁で地理情報を集約・利活用するにあたり、GISを利用したことがない職員も自部門のデータを手軽に登載したり、他課のデータを参照したりできる操作性を重視しました。

公開型GIS

より多くの市民に利用してもらうため、直感的で使いやすいUIであることを重視しました。

 

導入検討時の情報収集

導入検討にあたっては、他の政令指定都市にアンケート調査を行い、統合している分野やレイヤ数、公開型GISの内容、機能やカスタマイズ状況などを確認したほか、いくつかの自治体に視察訪問し、個別業務でのGIS運用について直接ヒアリングしました。

静岡市の場合は、ベースとなる統合型GISがなく、既存の個別GISを提供する事業者が様々だったため、より難易度が高い要件になることがわかりました。

 

システムの選定理由

全庁で利用する統合型GISとして将来の完成イメージを具体的に共有できた点が、インフォマティクスのGISを選定する決め手になりました。

特に評価した点

  • 「現在の個別GISをどこまで移行できるか」「必要な開発スコープや費用感」が明確に提示された提案だったこと
  • 他自治体での個別GISの導入実績が豊富で、「この機能は別の自治体のこの機能を応用すれば実現できそうだ」といったノウハウがあること
  • 既存の個別GISを無理なく統合できる柔軟性と、新たな個別GISを追加していける拡張性があること
  • 利用部署の職員が個別設定や分析を行えること

 

システムの活用状況

導入から1年で約1000データが登載され、全庁の約50%の部署が統合型または公開型GISを利用しています。従来から利用していた建設や都市計画、上下水道といったインフラ分野に加え、高齢者、子ども関係の部署や各種プロジェクトで活用が広がっています。
また、公開型GISでは36マップを公開し、月間約20,000件のアクセスをいただいています。

しずマップ 通常版

しずマップ 高機能版
(施設情報の表示例)

活用頻度の高い機能

特に活用頻度の高い機能は以下の通りです。

  • スタイルやラベル表現
  • レンジ機能
  • 商圏作成(到達距離)

導入効果

統合型GIS

庁内の情報共有が円滑になりました。これまで所管部署に行かなければ確認できなかったデータを自席のPCから閲覧できるようになったことで、物理的な移動や部署間の問い合わせが削減され、業務の省力化につながっています。

公開型GIS

市民が来庁せずに情報を閲覧できるようになり、窓口や電話での対応が軽減されました。職員と市民が同じ地図を見ながら説明できるため、意思疎通がスムーズになり、応対時間も短縮されています。

現場からの声

導入後に実施したアンケートでは、各部署から以下のような声が寄せられました。

歴史文化課

「静岡市遺跡地図」を公開することで、不動産会社等がインターネット上で確認できるようになったため、今までFAXで行っていた数千件の回答がなくなりました。

その他各課

地図の所管課と庁舎が離れている場合、閲覧のために訪問する必要がありましたが、自席で閲覧できるようになり、移動時間がなくなりました。

業務検討時に個々の所管課に都度確認する必要がなくなり、双方のやり取りの時間が削減されたことに加え、データを重ねて出力できるため資料作成時間が短縮されました。

 

今後の展望

全庁利用の促進

今後は、GISを利用していなかった部署を中心に、各部署内に閉じている地理情報を積極的に統合型GISへ登載し、データ一元化と全庁利用をさらに進めていきます。

公共データ公開の促進

市民にとって利便性の高い地理情報の公開(オープンデータ化)を進め、データの価値を高めるとともに、住民サービス向上につなげたいと思っています。
あわせて、観光、交通、防災、福祉など、多様な分野を横断した公共データの活用も検討しています。

シェアサイクルマップ
PULCLE

令和7年度固定資産税地番参考図・家屋外形図

消防水利施設

 

GISのリテラシー向上

豊富な分析機能の理解を深め、高度な活用方法を推進して客観的データに基づく政策立案(EBPM)を強化していきたいと考えています。

より幅広い業務でのGIS活用を推進

「現場作業時にデータを確認・更新したい」「特定の事業者と限定的にデータを共有したい」というニーズもあるため、LGWAN(総合行政ネットワーク)環境下の利用だけでなく、庁外業務でも利用できるよう機能拡張を検討していきます。

 

今後の課題

導入1年目ということもあり、各部署の業務にどう落とし込むか、庁内のGISリテラシーをどう高めていくかが今後の課題です。
また、DX推進課が各部署の業務内容をヒアリングし、運用を提案していくこともこれからの課題です。

こういった課題解決のためには、操作研修だけでなくGISの活用を継続するための相談体制が重要だと考えており、インフォマティクス主催の活用相談会などを通じた継続的なフォローに期待しています。

 

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本記事は2026年5月現在の情報に基づくものです。閲覧時には変更されている場合がありますのでご了承ください。

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