Case26.手描き表現がもたらす効果とは
有限会社パライソ 天野詳司氏
Piranesi&MicroGDSアワード2010 3位受賞
都内に事務所を構え、商業空間やインテリアのパース作成を主に手掛ける有限会社パライソの天野詳司氏。2005年のPiranesiアワードでも2位を受賞される実力の持ち主である天野氏に、今回の受賞作品である「HaRu_uRaRa」について伺ってみた。
一番に目が行くのは、水の穏やかな流れと季節を感じさせる桜の表現。「水の表現をどうするか、それがテーマの作品だったと思います。水を扱う高層マンションの別案件があり、そのシミュレーションとして、どのように水面を表現しようかということで作ったものです」と、天野氏。全体を通して感じられる透明感は、水面の表現から来るものなのだろうか。
制作過程
Piranesiでの作業はおよそ6時間程度という本作品。モデリングはform・Zを使っているが、他の案件で作成したものを流用しているので、さほど時間はかかっていないという。以下、順を追って制作過程を紹介いただいた。
1.form・ZからEPix出力をしたところ | ![]() |
2.Photoshopで加工を加えた水面をPiranesiに読み込み、レタッチ | ![]() |
3.桜の点景を加えて完成 | ![]() |
手描き表現がもたらす効果
「Piranesiを利用するのは、第一に、時間が全くない仕事のとき。それから、ディテールが詰めきれてない物件に使います。例えばホテルの客室の案件で、リアルに造り過ぎてしまい、お客様の印象がそちらに偏り過ぎて良くないということで、プレゼンで落ちたことがありました。家具等のほとんど無い白い空間をそのままリアルに作ってしまうと、どうしてもクールな印象を与えてしまったり空間の間がもたなかったりすることがあります。Piranesiですと、ぼかしなどを使うことにより、うまくごまかしが利くのです、いい意味で。それとお客様に考える部分を残してあげることができます」と実際の体験をもとに語る天野氏。またPiranesiアワード2005で2位受賞した以下の作品については、

「これはPiranesiを使い始めて間もないころの作品です。海外のレストランの案件でパースを作成したのですが、そのときと同じカットをPiranesiで表現するとどうなるのかということで作ったものです。左側は滝なのですが、Piranesiで加工する前のリアルな絵では、もう少し左を切ってしまっているんです。ところが、Piranesiを使えば、この絵のように余白を作ることでうまく逃げることができます」と、単なる見た目の美しさだけではないPiranesiの手描き表現がもたらす効果についても言及いただいた。
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