Case22.Piranesiで味を演出
建築パースデザイン工房 Design-Masiro
早瀬ましろ氏
イオグランツ賞受賞
岡山県内にて、建築パースデザイン作成、プレゼンテーション業務を中心に、プロポーザルコンペ、デザインコンペなどの業務協力、岡山の工業系専門学校の建築工学科での講師(2DCAD・3DCGソフトを活用した基礎実習、コンペ指導等)など幅広く活動されている早瀬氏。アワード2010にて、イオグランツ賞を受賞した作品は、屋号のMasiroにもあるように、白を基調とした空気感が表現され、見る者に穏やかな印象を与える作品。インタビューでは、一連の制作過程から、各作品への思い入れ、パース制作への取り組み方などを披露していただいた。
マルチペイントの合成による表現
「購入して1年程で、それほど使いこなせてはいないのですが...」と謙遜されているが、Shadeで出力したEPixファイルをベースに、Piranesiのマルチペイント機能を使って複数のイメージを作成し、Photoshopで合成するという使い方をメインに、様々な画像を作成、とフル活用していらっしゃるご様子。今回、アワードに提出した3作品のうち2作品は、白を基調としたファンズワース邸の習作パースと、建築物の暗部の影を重要視し、黒を強調したサヴォア邸の習作パースであった。早瀬氏にとって、この2作品は一対の作品として位置づけられているそうだ。
3つ目の作品は、業務の延長上で制作した結婚式場のパース。木漏れ日や季節感を感じてもらえるような作品に仕上げたかったという。この作品は、アワード応募者による投票で人気が高く、グランプリノミネート11作品の1つに選出された。
パースを打ち合わせの道具に
「1物件のパースにかける時間は、平均すると4〜10日くらいですが、実際にはお客様からの修正依頼回数に応じて日数は前後します」と、早瀬氏。作業時間の内訳は、3D作業が60〜80%(Shadeにおけるモデリング・レンダリング)、2D作業が20〜40%程度(Piranesiを含めた画像処理、レタッチ)。また、最近は設計をスムーズに進めていくために、パース自体を仕様変更や建具の位置変更などの打ち合わせのための道具としても考えるようにしているという。
パースとは1枚の切り取られた風景
「Design-Masiroの基本的な考え方は、建築パースを1枚の切り取られた風景と考え、構図(アングル)、空気感、芸術性、コンセプト、色合いなどを大事にして作成しています」 具体的には、白(ましろ)を基調色とし、間接光による柔らかい光と影、写真の所謂ピンボケしたような表現や空気感といった、CGではなかなか表現が難しいところまで出せるパースを表現しているそうだ。
Piranesiで味を演出
前述の「マルチペイントによる合成手法」(マルチペイントで作成した複数の画像を他の画像編集ソフトで重ねる手法)は、濃くしすぎるとヨゴレのように見えてしまうが、淡く合成することで、パースの「味」のようなものを演出する効果もあるという。また、SketchUpで生成した画像に、Piranesiの表現を加えることで、さらに優しさや情感が感じ取れるような作品にもできるとのことだ。
「Piranesiの次バージョンV6.0ではレイヤ機能が追加されるようなので、Photoshopで行っていた合成の手間がなくなり、大変便利になりそうですね」とPiranesi V6.0に期待を寄せる一方、「ツールに頼るばかりではなく、お客様の求めるモノを正確に捉え、建築物のコンセプトを重要視して、さらに自社の特徴である空気感を出せるようにしたい」と、不断の努力も惜しまない。ここで掲載した他にも多数の事例がホームページにも掲載されているので、是非チェックしてみて欲しい。
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