講演内容のQ&A

空間情報シンポジウム内でいただきましたご質問とその回答を掲載いたします。
お時間の関係上回答できなかったご質問にも回答を掲載しております。
ご講演者様のご都合により、一部回答や公開のできないご質問がございます。予めご了承ください。

Contents

DX-Day

東京大学大学院 工学系研究科 教授
理化学研究所量子コンピュータ研究センター 副センター長
古澤明氏
「量子テレポーテーションを用いた大規模光量子コンピューター」

Q.最近、半導体量子ビットの開発も盛んになっていると理解しています。このような他方式との競合も起こってくると考えますが、光方式は今後どのような方向性で発展していくのでしょうか。他方式との棲み分けが進むのか、それとも、他方式を凌駕できるような方向性で開発が進められる可能性が高いのでしょうか。

そもそも質の違うものです。電気信号を使っている限り半導体であろうが何であろうが、クロック周波数は数ギガヘルツを超えられないので、仮に量子コンピュータができたとしても、ショアのアルゴリズムみたいに速いアルゴリズムが知られていない以上、ショアのアルゴリズムみたいな問題はもの凄く速く解けるけど普通の計算は並以下だっていうのと、低温が必要ということで、あまり意味がないのかなと思います。
一方で、光量子コンピュータはもの凄くクロック数を上げられるので、普通の計算、普通のアルゴリズムも室温で動きます。明らかに我々以外、あまり強くないなと思います。
では超電動量子ビットや半導体の量子コンピュータを研究する意味がないのかといわれると、そんなことはないと思います。コンピュータの歴史を考えてみてください。コンピュータは、最初真空管スイッチを使ってデジタルコンピュータが作られていました。今私がお話ししている東大工学部6号館4階は日本で初めてのデジタルコンピュータ(TAC)が作られた場所ですが、じゃあ真空管で作られたコンピュータの研究自身に意味がなかったのかといわれるとそんなことはなくて、そこで生まれたナレッジを使って半導体、つまり、ここ80年くらいかけて、半導体スイッチができ、ICが作られ、LSI、VLSI、ULSI、マルチコアになって現在に至っているわけです。研究するためのプラットフォームとしては実によくできているので、そういう研究も必要ですが、実用化という意味では多分光(量子コンピュータ)しかないだろうなと思っています。

 

国土交通省 都市局都市政策課
課長補佐 内山裕弥氏
「国土交通省 Project PLATEAU について―3D都市モデルのこれまでの成果と今後の取組み」

Q.現時点で公開のみでダウンロードが不可となっている都市について、ダウンロード可能となる時期の目途などあれば教えてもらえると助かります。

先にビューア上での可視化を先行しているためお待たせしていて恐縮ですが、今月中にはすべてダウンロード可能とする予定です。

Q.7月に56都市すべてが公開と仰っていましたが、今後データの更新頻度の予定をご教示ください。

元データにある基図、基本図、基礎調査の更新がだいたい5年に一度なので、最低限5年に一度は更新したいと思っています。ただ、それだと非常に更新が遅いということになると思いますので、そこをどのくらい短縮できるかがPLATEAUの今後の重要な課題の一つです。

Q.道路のテクスチャーは今後データ整備・公開する予定はございますでしょうか。

道路のテクスチャは多分疑似テクスチャになります。マンホールや(道路)標識などは再現していきますが、写真を貼り付けるとパフォーマンスが悪くなるのでそれはしないと思います。

Q.認知していればで構いませんが、ゼンリン社も3D都市データをサービスとして提供していますが、プラトーとの違いをご教示ください。

(PLATEAUは)セマンティックスジオメトリの統合モデルであることや、ベンダーフリーのCityGMLというXML言語で書かれているという点が最大の違いです。

Q.データ作成ではその新鮮さも重要になると考えます、3d都市モデルのデータを継続的に更新することも検討されているでしょうか。

継続的に更新するようにいろいろと仕込んでいます。

Q.先日の熱海の災害でのソリューションとしての可能性はあるでしょうか?

熱海は対象都市になっていませんで、熱海(の災害)では3次元点群が非常に役立って、PLATEAUが貢献できず忸怩たる思いというのが正直なところです。もし仮にPLATEAUのデータがあれば、たとえば、他の家がどういうふうなリスクに晒されているかとか、盛り土マップという話も出てきていますが、土砂災害警戒区域は現状でも重ね合わせてリスク分析することが可能ですので、非常に役に立ったと思います。こういった例からも3Dデータの整備が急務だなという思いを新たにしたところです。

Q.公図データを載せることはありますか?

公図データは次の検討項目かなと思っています。我々はプラットフォームになるつもりはないので、PLATEAUを起点にどんどん情報を集積していく予定はないのですが、(公図データは)非常に重要なデータだと思っているので、何か連携できないかなと考えているところです。

Q.都市計画基礎調査情報と、国土交通省が公開されている国土数値情報は別物ですか?

全く別物です。都市計画基礎調査情報は、基本的にこれまで公開されていたものではないです。国土数値情報が載っているのは、たとえば、用途地域のような誰でも縦覧、公告で見れるゾーニング規制のような情報がシェイプやGMLで公開されているものです。なので、(都市計画)基礎調査(情報)ではないです。

東京工業大学 環境・社会理工学院 教授
一般社団法人 地理情報システム学会 会長
大佛俊泰氏
「空間情報を用いて曖昧な概念を探る 」

Q.非常に興味深く拝聴しました。ビルやオフィスにDM_SCOREを応用した事例はありますか?

非常にローカルな話なので、応用したという話はまだ聞いておりません。

Q.DM_SCOREを改善するにはどのようなファクターを加えるとよいと思いますか?

今回パーソントリップデータ(PTデータ)を使ってまして、集計単位として小さくはないです。もう少し空間精度の高いデータや、先ほどの小学校の例では、同じ小学校に行っているわけですから、関係がタイト(密)であることは自明なのですが、同じ地域にいるからといって同じ活動をしているとは限らないので、そのあたりをもうひとひねり、あるいは精度高くできればと思っています。たとえば、同じような職業で同じようなエリアであれば同じような価値観を持っている人が来てるよね、というふうに束ねられればもっと精度が高くなるかもしれません。そういう意味では、最近利用できるようになった、携帯電話の位置情報にもとづく人口統計データの応用というのもあるかもしれません。

Q.DM_SCOREが有効な事例は何でしょうか?

最後に見ていただいたアンケートの調査区の例がそれにあたるかなと思います。今、基本的に各自治体で設定している調査区を見ていても、最初のほうでご紹介した地形の情報と合わせると、結構地形に合っているんですね。単に位置的に近いからこれをまとめて同じ調査区にしようということをしないで、川沿いに集落が形成されているので、そこを絡め調査区を設定しているのです。それは都市交通が発達してくると、本来の地形の持っていた人の動きが交通網の発達で少しずつ変わってきて、その効果でどうなっているのかわからないので、今回のような計算方法を使って、確率密度の重なり具合で近さを評価すると面白いのかなと思った次第です。

Q.ブランド価値は変化していますが、価値を上げることに貢献するのはどのようなことでしょうか?

本日は発表時間が限られていたので、そのあたりのディテールを持ってきませんでした。先ほどUj(ブランド価値)に準じて玉川が高いとか成城が高いとか見ていただきましたが、jの高い低いが結局何で構成されているかを突き止めないと答えにならないので、今それをやっています。
これはかなり色々なデータを使います。たとえば木造集合住宅の割合が高いとちょっと落ちるとか、今では田園とか畑とかあると上がりそうな感じがするのですが、そういう面積割合が高いとちょっと下がるとか。そんなふうにいろんな都市活動でUj(ブランド価値)の高い低いを推定したモデルが別途ありますので、詳しくは最後に見ていただいた参考文献をぜひご覧いただきたいと思います。

品川女子学院 教諭
河合豊明氏
「地史まっぷを活用した高校での授業実践」

Q.GISは高度なイメージがありますが、授業に落とし込む際に苦労した点などありますか?

(GISは)確かに高度なものだとは思います。もともとWebGISではなくGISソフトを使っていましたが、一番困っていた点は、どのデータをどういうふうに使えばいいんだろう?こういうデータを使いたいけどそれってどこにあるんだろう?とよくわからなかった。それを探していってもらうのが課題でした。ですが、それを最初にいちいち生徒に教え込んでいくのではなく、生徒に探してもらって取捨選択してもらい慣れていってもらうことで、これはクリアできるということが3年間実証した結果でわかりました。

Q.品川女子学院では地史まっぷを利用されているとのことですが、地史まっぷを利用して一番よかったと思う点を教えていただけないでしょうか?

地史まっぷ自体にデータが入っていないことがデメリットだと思われる方がかなり多いと思います。RESASや他のGISベンダーさんだと、最初から教科書ベースのデータは入っていますというものがたくさんあると思うんですが、地史まっぷの場合はそれがほぼほぼない。で、生徒自身が自分で見つけてきたデータをインプットしやすいというところが大きなメリットだと思います。そのぶん使いづらいというところもあるとは思いますが、その代わりに生徒の自主性にまかせて生徒が考えた仮説をクリアしていく、説得するためのデータを作るということになるのが一番の強みだと思います。

Q.自分でGISに地図を落とし込めるテーマが考えられる優秀な学生はいいですが、あまり思いつかない学生もいるかと思います。そんな学生でも地史まっぷは使えると思いますか?

実は成績があまり芳しくない生徒のほうが長けているというのがありました。結果としてわかったことですが、単純に勉強というところではなく、勉強以外の部分でアイデアを出していくと評価につながってくるんですね。なので、これを繰り返していくと、勉強ができる子というのは最初から「おそらく答えはこうなんでしょ」と思って決めつけてしまう部分があるので、思い切ったぶっ飛んだようなアイデアは出てこないんですね。逆に、そうではない生徒は思いもよらない拍子抜けするようなアイデアが出てきます。普段の勉強があまり得意ではない生徒は、我々が思いもよらないデータを見つけてきて(WebGISに)入れてみて「これってどうせ違いますよね?」「いやいやこれはとても面白いと思いますよ」ということを2度繰り返していくと、地理って意外に楽しいものなんですねとなり、普段の勉強にも結び付いてくる事例が多数あります。どちらかというとあまり勉強に自信のない生徒さんにぜひお勧めしたい作業になるんじゃないかなと思います。

山形大学 国際事業化研究センターセンター長
教授 小野寺忠司氏
「人材育成こそが地方を変える!~3年間でベンチャー13社を生み出した人材育成とは~」

Q.今後ビジネス化が可能そうな注目されている分野がありましたらご紹介いただきたいです。

個人的にはものづくりを優先したいと思っています。大学なので、たとえば有機ELを専門にやっている先生がいたり有機EL照明をやっているベンチャーがあって、そういったものを優先したいというのはありますが、世の中の流れもあり、バイオ系のベンチャーが注目されていると思います。

Q.先生は活動を通じて学生や若い人と多く触れ合ってきたと想像しますが、先生の目を通じて今の若い人の特徴や人物像はどう映っていますでしょうか?

Z世代といわれている人たちはすごいです。打ち合わせやミートアップなんかやると、どんどん質問してくるし自分から積極的に開拓していく精神があって、日本いけるんじゃないかと私なんか思っています。その前はちょっと厳しかったんですが、今の若者はイケると思います。

Q.産官学報連携というお話があったと思いますが、連携されるにあたり課題や苦労された点はありますでしょうか?

山形県を口説くまでに2年くらいかかりました。こういうことをやらないとダメだということを、何度もトップにあったり色々な人にあったりして説明しました。とにかく諦めないで何が何でもやるんだという執念で説得を続けましたが、そうしないと動いてくれないという苦労はありました。行政を動かすのは大変で、いかにキーマンを見つけ、その人の心を動かすかが大事だと思います。
報道はとても協力的でした。なぜかというと、田舎なので人口がどんどん減少するとコミュニティがなくなってくる。コミュニティがなくなると彼らの商売があがったりとなる。報道が自ら踏み込んで新しいコミュニティを作るぐらいの勢いでやらないと地方で生き残っていけない。なので、互いに協力してやろうやろうと積極的になるわけです。

インフォマティクス最新製品

Q.紙地図機能プラグインについてですが、機能プラグインは、Planets導入の際に同時に導入しなければいけませんか?

機能プラグインは、Planetsの稼働環境がある限り、いつのタイミングでも導入可能です。(バージョン6.0以降という制約は付きます。)
値段も、その時点でのPlanetsライセンス料の2%~20%のご用意で、特徴的な追加機能の数々をご利用いただけます。

Q.APIで連携する例を挙げていただきましたが、JSBase単体でも動作可能なのでしょうか?

可能です。単体でご利用いただきつつ、APIで他システムに埋め込んでいただくことも可能です。

Q.APIで地図を別システム埋め込めるのは、SISのActiveXコントロールのようなモノですか?

概ねそのような形になりますが2点異なります。 ・.NETだけでなく、ブラウザアプリやAndroidアプリに埋め込むことができます。 ・SISのActiveXコントロール単体ではユーザインターフェイスなどは含まれていませんが、JSBaseでは様々な分析機能をユーザインターフェイス含めて埋め込むことが可能です。  データ連携APIを組み込むだけで、多角的な分析機能をアプリに追加することができます。

Q.他社に構築を委託しているアプリにJSBaseを埋め込みたいが可能でしょうか?

プラットフォームが対応していれば可能です。サンプルコードなど提供できますのでお気軽にお問合せください。

Q.Salesforceを例としてご紹介いただきましたが、Salesforceのマーケットプレイスで販売する計画はあるのか? またGeoCloudの一製品とのことだが、クラウドサービスとしての提供は予定しているのか?

販売に向けて準備中となります。無料プランなども検討しておりますので、お気軽にお問合せください。

Q.実際に、DXに成功している事例はありますか?

成功の定義にもよると思いますが、いくつかのお客様で若い従業員の方を中心にデータ活用の小さな成功体験が積み重ねられつつあると聞いていますので、先行されているお客様においては組織文化の変革が軌道に乗り始めたという手ごたえを感じています。

Q.プラトーのデータはSISでどのように対応していますか?

現バージョンでは、読み込み後にX軸とY軸を入れ替える必要があります。読み込み方の詳細はFAQ「1089」で公開しておりますのでご覧ください。 次のサービスリリースSIS9SR3では、ドラッグ&ドロップで正しい位置に読み込まれるように、改善されています。

Q.SISはクラウドサービスはないのでしょうか?

GeognoSISを使用して、クラウド上にシステムを構築することができます。利用するライセンスについては、弊社営業までご相談ください。

Q.地史まっぷを個人で利用したいのですが、可能でしょうか?

地史まっぷウェブサイト(https://www.informatix.co.jp/gcmap-e/)から、利用用途などをお知らせください。それによって判断させていただきます。

 

XR-Day

株式会社 イエイリ・ラボ 代表取締役
建設ITジャーナリスト
家入龍太氏
「建設DXで設計、施工、維持管理の働き方はこう変わる 」

Q.AR、MR全般にいえることで、現実の視界へ人工的な映像を重ねることで、視界が悪くなることによる安全性(つまづきやすくなるおそれなど)への配慮があれば教えていただけないでしょうか。

株式会社インフォマティクスが代わってお答えします。HoloLensやXR10では明るさの調整機能に加え、グラス部分をフリップアップする機構がありますので、現実の視界に重ねられた人工的な映像による現実の視界への影響を抑えることが可能です。

Q.現場で働かれている職人さんの中には気難しい方もいらっしゃると思いますが、DX化に関してご意見などありましたでしょうか?

職人さんもアプリなどについて「これは便利だ」「仕事がはかどる」と理解してくれたら、使ってくれると思います。また「自分だけ使わなくても大丈夫だろう」といった感じで、一部の人がアプリを使わないという問題は、全体のメリットについてよく説明して参加してもらえるようにお願いするしかないと思います。もし可能なら、アプリに参加するとその人にメリットがあるような仕組みを組み込めると、説得しやすいと思います。

Q.現場での遠隔対応には、クラウドに保管するデータ量がかなり必要になっていくと考えられるが、データ量と保管についてお考えを教えてください。

クラウドにアップするデータ量は、遠隔で行う作業に求められる精度にもよると思います。施工管理は現在の「クラウド+タブレット」タイプのアプリに、現場関係の写真や図面などを入れていく程度で大丈夫なのではないでしょうか。遠隔臨場や建機の遠隔操作などでしたら、基本的に映像を流すだけなので、図面や設計図書程度のデータでよいのではと思います。将来、3Dモデルによる精密な施工を遠隔で行う場合は、ICT建機用のデータや点群データなども必要になってくると思いますが、こうした大きなデータは現在でもクラウドで扱った方が楽だったりします。
ただ、使い終わったデータをずっとクラウドに入れておくと、費用もかさんできますので、ディスクなどに書き込んで「オンプレミス」なアーカイブとして保存しておくという方法もあるでしょう。

 

 

株式会社竹中工務店
横浜支店 設備施工3グループ
園田真吾氏
「各検査業務へのAR活用事例」

Q.現実空間とモデルはどう位置合わせを行っているのでしょうか?

株式会社インフォマティクスが代わってお答えします。GyroEyeデータコンバータでは作業平面に原点を持ち、図面やモデルデータのレイアウトを行います。次に建設現場など現実空間にARマーカー(DVDサイズの紙)を置き、それをHoloLensを装着してGyroEye Holo ビューワで認識する事でそこを起点にモデルが配置されます。ARマーカーの配置のほかに、エアタップ方式、また空間アンカーを利用した配置情報の保存・呼び出しが可能です。

Q.設備設計も含め、設計段階でMRを用いることによって、建設できる構造の幅が広がったりなどのデザインの広がりのような気付きは生まれましたでしょうか?

設計者としては、例えば、既存の光や風環境の情報を、既存の空間に対して立体的に重ね合わせて、そこでの体感をもとに、手を加えた際の変化をよりリアルに想像する、みたいなことができると思います。
新築の際も有効ですが、リノベーションの設計にも力を発揮すると考えています。

Q.施工現場というのは、かなり危険な環境だと思います。そんな中、安全第一で作業されていると思うのですが、MRで見える情報量が増え注意力が散漫になりかねないと思いました。それに対しての対応策があればどのような取り組みをなさっているのかお聞きしたいです。

おっしゃる通り、現場内をHoloLensを装着して作業したり歩行するのは、危険な場合もあります。
特に、建築主様や、BCJ検査員、消防検査員の方など、現場に不慣れな方に装着していただく場合は、事前に危険な個所をお伝えしたり、必ず現場が分かる方が近くにいて誘導するという形をとって安全第一で検査を進めるようにしました。
また、職人さんに装着してもらう場合も、竹中社員や協力会社社員が近傍にいる状態での試行としております。
躯体工事中は、職人さんだけでHoloLensを装着して作業するというところまでは、まだまだ安全面では実施できないというのが正直なところです。
HoloLensではなく、iPadであれば、安全性は高まるため、検査においては、iPadでの検討を進めております。

Q.墨出し位置を表示する際、Hololensとモデルの位置合わせはどのように行っていますか?ARマーカーやAnchor、空間認識によるSLAM等なのでしょうか?

検査に関しては、HoloLensとモデルの位置合わせは、ARマーカーを使用しております。
インサートの墨だしに関しては、ARマーカーを2つ使用してX軸の固定をする方法をとっております。

 

株式会社IHIインフラ建設
開発部 開発グループ 課長
若林良幸氏
「MRを活用したニューノーマル時代における建設業の働き方と労働生産性の向上」

Q.BIMやGrasshopperのような、コンピュテーショナルデザインやアルゴリズミックデザインを行う上で必要なプラグインで行った検証の過程や結果を動的に表示することはできるのでしょうか?

基本はBIMデータをベースにICT(MR)を連携しています。我々は橋梁なども設計・施工していますが、土木では決められた諸元が多く、設計したデータをMRデバイスに取り込み活用しているところです。現在は検証の過程や結果について、動的な表示はできていませんが、MRを用いた空間ハンド計測や他の計測機能などが進化することによって、将来はさらなる広がりがでてくることを期待しているところです。

Q.建築途上の現場では、公共のキャリア電波しか入らないことが多いと推察しますが、それでも十分に利用可能でしょうか。

建築途上の建設現場では、公共のキャリア電波しか入らない場所が数多く存在しています。昨年に,市街地(地方)の建設現場で遠隔臨場検査を試しましたが、十分に対応できました。MRデバイスをとおして、リアルタイムに設計BIMデータを安定して通信し、遠隔検査ができたことで、十分に利用可能と感じています。しかし、通信環境が良くないと予想される地域では、キャリア電波を通信会社と事前に調査・確認しています。特に、山間部などではローカル5Gはまだコストが高いので、低コストで大容量のBIMデータを通信することが可能な産業用Wi-Fi機器などを、近年は活用している事例もあります。

Q.Wi-Fiを建設現場へ仮設して電波環境を改善していることはわかりましたが、日本国内で実施する場合に必要な手続き(公衆キャリアとの交渉や、無線免許の取得など)を教えていただけないでしょうか。

今回使用した産業用Wi-Fi機器については、日本国内では必要な現場での手続はございません。機器を設置する会社でも同様となります。

Q.MRを使用して現地のコンクリート桁断面を空間計測していましたが、計測誤差はどの程度ありましたか?教えてください。

計測誤差については、実計測(構造物寸法)値に対し、最大で,約-0.2%~+0.1%の誤差(メジャー計測とMR計測で比較)を確認しました。これは、MRデバイス内でBIM橋桁モデルの構造物と実構造物のエッジが重なり、計測するエッジが見えにくくなっていたことも誤差を生じた原因の一つかと考えています。計測精度向上に向けて、計測方法の改善を実施しているところです。また、橋桁断面全体の計測値の平均は、約0.03%の誤差という結果でした。

オフィスケイワン株式会社
代表取締役 保田敬一氏
「橋梁上部工事におけるMR技術の活用事例」

Q.PC橋を目視のみで検査されていますが、打音検査のデータはどうやって残すのでしょうか?

竣工時のひび割れスケッチを想定しておりますので、定期点検での打音検査の結果までは対応できておりません。
今後弊社が維持管理分野まで取り組みを拡充していくなかで打音検査システム連携などのニーズも検討できればと思います。

Q.架橋VRシュミレーションの操作は、模擬運転装置などが別途用意されており連動しているのでしょうか。
VR上の物体に、実際の物体の素材や重さは反映されているのでしょうか。

現在は市販のVRデバイス(VIVEやOculus Rift)でのVR体験が可能でパソコンで動作する実行形式コンテンツになっております。
直接クレーンを操縦する操作体験にはなっておりません。
クレーンオペ操作向けのコンテンツというよりも、吊り荷の俯角やブームと桁の近接などを確認する目的が主な活用イメージとなります。

Q.維持管理については、これから取り組むとのことでしたが、橋梁点検で、施工時の図面を重ねながら、橋梁の側面や下部から状況を確認したり、ひび割れなどをその場で手書きできるようなシステムの提供予定などあるのでしょうか?

現時点では弊社は設計および施工時のCIM活用を中心とした取り組みを進めており、維持管理分野はこれからになります。
竣工時のCIMモデルが維持管理で活用されるようになれば、桁内のPCケーブルや配筋をMRで重ね表示しながらの点検も可能になると思われます。

 

インフォマティクス最新製品

Q.MRでBIMモデルと実際の世界との位置合わせをどのように実現しているのでしょうか。

GyroEyeデータコンバータでは作業平面に原点を持ち、図面やモデルデータのレイアウトを行います。次に建設現場など現実空間にARマーカー(DVDサイズの紙)を置き、それをHoloLensを装着してGyroEye Holo ビューワで認識する事でそこを起点にモデルが配置されます。ARマーカーの配置のほかに、エアタップ方式、また空間アンカーを利用した配置情報の保存・呼び出しが可能です。

Q.屋外だと晴天時だとホロレンズでは薄いと思いますが、何か工夫をされてますか。

弊社では屋外の晴天の時にHoloLensやXR10をご使用いただく為の、明るさ調整用サンバイザーをご用意しております。(https://www.informatix.co.jp/gyroeyeholo/)2枚1組で税込み¥33,000円です。ご検討ください。

 

 

 

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