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GIS活用事例|昭和女子大学 国際文化研究所

昭和女子大学 国際文化研究所でのGCMaps(地史まっぷ)の活用

「30年にわたるベトナム・ホイアンの研究データを地図上に整理、文化財保存に役立てたい」

昭和女子大学 国際文化研究所では、所長の友田博通教授を中心に進められているベトナム・ホイアンの町並み保存プロジェクトにおいて、ホイアンの街並みや、ベトナム全国に渡る伝統文化財保存調査の収集データと多数の論文集の整理に、インフォマティクスのGCMaps(地史まっぷ)を活用しています。

(左)昭和女子大学 国際文化研究所 所長 友田博通教授(右)昭和女子大学 副学長 志摩園子様

昭和女子大学 所在地:〒154-8533 東京都世田谷区太子堂一丁目7番57号
創立 :1920年
学長 :小原奈津子

地史まっぷ(GCMaps)導入の背景

かねてより、昭和女子大学 国際文化研究所が行った30年にわたるホイアンの研究データを、ホイアン市に移管することが検討されていました。2020年9月、昭和女子大学が行ったホイアンの研究データの共有と市民公開について協力を要請されました。

2021年3月、在ベトナム日本大使館より、ホイアン市から行政のデジタル化の要請をうけ検討中との話があり、友田教授がその方法を検証、昭和女子大学が所有するデータの系統化には、場所・家ごとに地図上で整理するのがわかりやすいと考えました。友田教授は、2019年12月ベトナム行政関係者が多数参加していたカイベー観光祭のシンポジウムで、インフォマティクスのファウンダー長島雅則からGIS(地理情報システム)の紹介があり、研究で導入するのであれば協力したいと話していたことを思い出し、この機会にGISを導入することになりました。

【ホイアン市について】 ベトナムの中部、トゥボン川の河口付近に位置する歴史ある港町で、1999年にはユネスコの世界遺産ともなっています。古くから中国や日本等との交易が盛んで、17世紀の日本陶磁器が発見されたり、現在「日本橋」と呼ばれる橋付近に日本人町の遺構が発見されるなど、日本とも縁があります。トゥボン川に並行して東西に延びる3本の街路のうち、チャンフー通り、グエンタイホック通り沿いには、日本の町屋風の建物や、ベトナム各地に見られる西洋式コロニアル風のファサード(建物の正面)を持った建物など、ベトナムの歴史を感じさせる美しい町並みが残っています。ベトナム政府、ホイアン市、ホイアン住民の協力により、市の現在の経済の大きな基盤となっている観光、住民の生活とバランスを取りながら文化財の保存が進められています。参考文献: 友田博通『ベトナム町並み観光ガイド』, (岩波書店),2003

ホイアン 旧市街地と日本橋付近(友田博通教授 提供)

地史まっぷ(GCMaps)とクラウドで収集したデータを地図上で管理

1993年に開始した「ホイアン町並み保存調査」(ホイアン市)に続き、1997年開始の「ベトナム民家悉皆調査※」(省文化局)、2003年開始の「ベトナム農村集落保存調査」(文化情報局)など、ベトナム全国にわたる伝統文化財保存調査の収集データと多数の論文集の整理にGCMapsを活用しています。※悉皆(しっかい)調査 :全て調査すること。全数調査、全部調査

昭和女子大学 国際文化研究所で管理しているGCMaps画面(2021年4月現在)

現在、大量にあるデータからカテゴリごとに地図上へのプロットを行っている段階で、具体的には「世界遺産ホイアンの町並み」「ハノイ歴史的町並み」「ベトナムの家と町並みと集落」などの町並みや建物を地図上にプロットしています。数十年来収集してきた写真やデジタル化された図面のデータを、昭和女子大学で使用しているグループウェアOneDriveのクラウド上に収集し、見やすく整理しています。さらに、ベトナムの地図はOpenStreetMap等を使用していますが、道路等が現地の実際の状況と異なることもあり、インフォマティクスのGeoConic (GC Editor)を使って、地図データの編集も行っています。

地図には「ベトナム服飾研究」「棚田と少数民族集落」など、ベトナムの文化全般に関わるコンテンツも追加されています。成果はまだこれからとのことですが、本研究内容は昭和女子大学執行部からの期待も大きく、学生が図書館や各自のPCから閲覧できるようにすることも要請されています。

整理したデータはベトナム行政のためだけでなく、大学の研究資料としての活用を検討

GCMapsを操作する友田博通教授

友田教授によると、GCMapsで整理しているデータはベトナムの行政向けに構築しているので、ベトナム行政のシステムとしての活用を期待しているとのことです。

さらに、昭和女子大学としても、全学の学生がデジタルツールに習熟することを教育方針の一つとしています。携帯電話・情報端末の普及に伴い、ハザードマップなどの生活環境情報や観光案内・イベント案内などのエンターテイメント情報を得る手段として、今後GISは学生に必須のデジタルツールになっていくはずだと考えています。いずれは、状況に応じてGIS利用までのスキルを身に付けた学生を社会に送りだしたいと考えています。

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