事例記事

GIS活用事例|京都市立京都工学院高等学校

プロジェクト工学科 まちづくり分野 都市デザイン領域におけるGIS導入経緯

「自分たちで地図を作ることができる」という達成感が教育上良い効果をもたらす

京都市立京都工学院高等学校は、2016年の開校時よりITを利用した授業を進めています。地理情報システム(GIS)を利用した研究成果をゼミで発表する課題を通して、生徒の自己肯定感の向上にも一役買っています。

京都市立京都工学院高等学校

所在地:〒612-0884京都府京都市伏見区深草西出山町23
設立 :2016年
学生数:712 人(2020年6月現在)
校長 :砂田浩彰

http://cms.edu.city.kyoto.jp/weblog/index.php?id=300254

明治 19 年に京都染工講習所として設立された洛陽工業高等学校と、大正 9 年に京都市立工業学校の分校として設立された伏見工業高等学校とが統合、2016 年 4月に開校された工学系の高校です。設置学科はフロンティア理数科とプロジェクト工学科(工業科)の 2 学科で、プロジェクト工学科にはまちづくり分野(建築デザイン領域・都市デザイン領域)と、ものづくり分野(メカトロニクス領域・エレクトロニクス領域)の 2 分野4 領域があります。

背景・GIS導入前の課題

2016年に開校され、2020年で5年目となる京都工学院高校では、いち早く電子機器を取り入れてきました。「プロジェクト工学科 まちづくり分野 都市デザイン領域」は、橋や道路等の土木構造物を授業の対象として扱っています。その中で、土木構造物の情報を地図に記入する作業がありましたが、紙地図の場合、その作業を複数人で共有して可視化することが難しいという課題がありました。そこで、すでに導入済みの電子機器を活用し、2016年よりGISが導入されることになりました。地図を編集する機能が多くあり使い勝手もよさそう、ということでインフォマティクスが販売しているデスクトップGISであるSISが選ばれました。

授業の内容・課題

高校2年生では週2回に「実習」という週2時間選択制の授業でGISの使い方を習得、3年生の「課題研究」という授業でGISをツールの一つとして利用した実践的な課題を取り組んでいます。

「防災」というテーマの授業では、1995年の阪神淡路大震災や2018年大阪北部地震で見られたように、直下型の地震が起きた際「古い建物だから倒壊してしまうのではないか」という仮説をもとに、学校近辺をフィールドワークして建物の新旧を目視で確認しGISを使ってプロットする(地図上に記録すること)などしました。また、1981年の建築基準法改正により建物の耐震基準が改正されたことをテーマに、1981年前後の建物の変化を調査しGIS上に可視化して考察する授業を実践しています。

「防災」をテーマにした授業での生徒の発表例

防災以外にも、近くにある伏見稲荷大社近辺の事故を減らすために、京都府警が提供している交通事故情報と交通量の多さを地図上に表示して分析したり、学校周辺のおいしい駄菓子屋・スイーツ店を地図上に記録するなど、様々なテーマでGISを活用しています。

GIS導入による成果

本校プロジェクト工学科まちづくり分野都市デザイン領域の松井享司先生によると、当初、生徒達には「地図はすでにあるもの」という感覚が強いように思えたが、GISを使用した課題を通して「自分たちで地図を作ることができる」という達成感・やりがいを感じている様子だったとのことです。愛着のある地元を題材にすることで、より興味を持って取り組めていると感じているそうです。
GISを切り口にした授業を通して、松井先生ご自身も新たな発見があるなど、一方的に先生から生徒に教えるのではなくパートナーとして答えを探しながら一緒に楽しんで作業できたとのことです。
また、ものづくりに関わる工業高校として「自分の作ったものにプライドを持つ」という教育上の観点からも効果が高いと感じておられます。

プロジェクトゼミでの発表会

京都工学院高校では、答えのない様々な課題に対して生徒同士でアイデアや専門分野の技術・知識を出し合って解決へ導く「プロジェクトゼミ」を実践しています。2年次は学科や領域の枠組みを超えたチームでテーマに取り組みます。3年次は2年次の取り組みをさらに深化させた学習活動を展開し、研究成果を「プロジェクトゼミ発表会」で発表しています。

過去のプロジェクトゼミ発表会の様子

例年は専門の先生方をお呼びし、校内のホールで実施していましたが、コロナ禍の状況で今年12月はポスターセッション形式でのGISを利用したグループが、伏見稲荷大社周辺のフィールドワークを元にした「観光&防災マップの製作」を発表しました。

生徒からは「マップを作る際に伏見稲荷大社やその周辺をフィールドワークすることで、地理知識を深めることができた」「色で分けるなどして見やすくマップを作ることができた」などGISで地図を作ることへの感想や、「発表会などで色々な意見をもらえたので、視野や考えが広がった」「アイディアを考えたりすることで発想力がついた」「グループワークの難しさと大切さを学ぶことができた」などのプロジェクトゼミ全般へのコメントが寄せられました。

2020年12月実施 プロジェクトゼミ発表会の様子

今後の展望

新学習指導要領は、地理的技能獲得にGISの活用を求めています。京都工学院高校では、現状2年生以上の選択科目の授業でGISを取り入れていますが、社会科の「地理」の授業ではまだGISを取り入れていないそうです。将来的には社会科担当の先生とも一緒に、GISを利用した授業の展開を考えていきたいとのことでした。

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