豊中市 総務部 デジタル戦略課様
豊中市では、長年使用していた市民向け/庁内向け WebGISを再構築。再構築にあたっては、市民サービス向上、業務効率化、コスト削減を実現するため、公開コンテンツの絞り込みと使いやすさに重点を置きました。
お客様プロフィール
人口:400,900人(令和4年(2022年)1月現在)
世帯数:178,010世帯(令和4年(2022年)1月現在)
面積:36.6km2
所在地:〒561-8501大阪府豊中市中桜塚3丁目1番 1号
職員数:3,544人(令和3年(2021年)4月現在)
豊中市ホームページ
豊中市は大阪府の北部に位置する中核市。北東部に日本初のニュータウンである千里ニュータウンを有し、早くから都市インフラが整備され、交通網も発達している都市です。
令和3年(2021年)10月で市制施行85周年を迎えました。
導入の背景
豊中市におけるGISへの取り組みは以下のとおりです。
- 平成7年(1995年):土木部において、デジタル図化に着手。これより3年かけて基本図データベースを構築。
- 平成8年(1996年):道路管理システム稼働
- 平成10年(1998年):全庁組織として都市情報システム部会による運営開始。異なるGISデータを部署間での情報共有を促進するために、基本図データベースの主管課を情報政策課に移管。
- 平成11年(1999年):庁内向けイントラネットWebGIS (初代)提供開始
- 平成12年(2000年):市民向けWebGIS (初代)提供開始。以降、各部局で業務GISの導入が進む。
- 平成22年(2010年):基本図システム・道路管理システム・建築関係情報システムなど各課で使用している業務システムサーバを集約。これにより、複数課で使用しているデータの重複整備が減少し、GIS関係の業務合理化が進む。
- 平成24年(2012年):市民向けWebGISのリプレイス
- 平成25年(2013年):庁内向けイントラネットWebGISのリプレイス。これらWebGISのベースマップとして、これまで整備してきた基本図データが使用されている。
GIS関連データの格納先を情報政策課(現デジタル戦略課)のDBサーバに一元化し、重複整備の低減、コスト低減を実現しています。
さらに、豊中市基本図(地形図)を毎年更新し、庁内で共有して複数課からの参照を可能にしています。基本図のうち道路図形は基盤管理課、家屋図形は固定資産税課、それ以外の地形部分はデジタル戦略課で更新を担当しています。
開発コンセプト
平成12年(2000年)、基本図をベースに、市が保有する様々な情報をレイヤとして重ね合わせができる市民向けWebGIS「とよなかわがまち」を提供開始しました。
当時このようにさまざまな主題図を重ね合わせてインターネットで公開するシステムは比較的珍しいものでしたが、多種類の主題図を掲載しているため、データの更新に人的コストがかさむことが課題となっていました。
再構築における開発要件は大きく以下の2点です。
コンテンツの絞り込み
コンテンツの量が多くなるとその分データ更新にコストがかかるため、コンテンツは総花的ではなく、特に人気の高いもののみに絞りました。
また、一部更新されていないデータがあると、WebGISの鮮度が維持されなくなりシステム全体の信頼性が低下します。したがって、随時更新可能なコンテンツのみに絞り、信頼性の高いサービスの構築を目指しました。
使いやすさの追求
2点目の開発要件として使いやすさを重視しました。
まず、高い描画能力があることを要件としました。インフォマティクス社のGISエンジンは描画能力が高く、スケール変更やスクロールも非常にスムーズです。ユーザーの使いやすさを重視する上で、地図描画がスピーディであることは非常に大切です。
次に、ユーザーインターフェースの簡素化も要件としました。WebGISを使用するユーザーが知りたい情報は、結局のところ図形情報と属性情報なのではないかと考え、不要なウィンドウや地図表示以外の領域を極力小さくしました。
市民向けWebGIS「地図情報とよなか」の画面
「地図情報とよなか」で公開している主題図
(令和4年(2022年)1月 現在)
地図情報とよなか アクセス数
(令和3年(2021年)12月のアクセス数のグラフ)
庁内向け WebGISの再構築
平成25年(2013年)、庁内向けWebGISも再構築しました。複雑な編集は業務GIS(デスクトップGIS)で行い、情報閲覧はWebGISで行うというように使い分け、市民向けWebGISから「情報表示」「検索」「出力」などの機能を追加しました。
業務GISに合わせると多機能になる分複雑になり使い勝手に影響するので、市民向けWebGISと同様、極力シンプルな設計を心がけました。
現在、庁内向けWebGISを使って情報閲覧することで、本庁舎内の市民課と2つの出張所間において、迅速かつ的確な住居表示台帳の確認が実現しています。
庁内でのWebGISの活用
(住居表示台帳管理システムの情報をWebGIS上で閲覧)
庁内WebGISで表示可能なレイヤ
- 住宅地図:住宅地図、住宅地図(表札)※同時利用数に制限あり
- 地番図:家屋線、筆界、地番
- 下水道台帳:道管渠、取付管、桝、人孔
- 道路台帳:市認定路線、市認定外路線、国道・府道
- 住居表示台帳:住居表示
- その他:小学校区、中学校区
モバイル対応
非業務ユーザーの利便性に配慮し、平成28年(2016年)2月、スマートフォン向けサイトをリリースしました。
導入の効果
Web経由で主題図を閲覧できるため、業者は来庁の手間が軽減され、市職員も問い合わせ対応の手間が軽減されています。
また、オンプレミス環境の場合はサーバ管理が必須となりますが、「地図情報とよなか」はデータセンターによるクラウド運用のため、サーバ管理者の負担も軽減されています。
記載されている会社名、製品名は各社の登録商標または商標です。
本記事は令和4年(2022年)1月現在の情報を元に制作されたものです。閲覧時には変更されている場合がありますのでご了承ください。