奈良市
総合政策部 DX推進課様
奈良市では庁内の統合型GISのリプレイスを実施後、市民投稿型の道路損傷等通報システムの実装や、公開型GIS「奈良市地図情報公開サイト」の機能拡張を行いました。さらにその後も奈良市地図情報公開サイトには公園施設損傷等通報システムも追加するなど、広がりを見せています。
お客様プロフィール
奈良公園
面積:276.94 km²
人口:350,390 人
世帯数:167,757 世帯
所在地:〒630-8580 奈良市二条大路南一丁目 1-1
職員数:2,259 名
奈良市ホームページ
※人口、世帯数は令和5年7月現在
職員数は令和5年4月現在
平城京が遷都されてから約1300年の歴史を有する古都・奈良市は、東大寺、春日大社などの「古都奈良の文化財」が世界文化遺産にも登録され、国際観光都市として有名です。
2023年総務省発表では、年少人口の転入超過数が多い自治体として関西1位になるなど、住みやすさと自然環境が両立した関西圏の重要な地方都市となっています。
平城宮跡
導入背景
奈良市では、平成26年(2014年)に職員が利用する統合型地理情報システムの入札を実施、システムを導入しました。導入から5年たち、リプレイスを実施することになりました。
システム選定したポイント
担当者は複数の会社の統合型GISを検証、インフォマティクスの統合型GISパッケージは、市が求める機能やGUI、操作性などの要件を満たしていることをデモサイトなど通じて確認していました。令和元年(2019年)年5月に実施した一般競争入札の結果、インフォマティクス社のシステムに決まりました。
統合型/公開型GIS導入~運用まで
以下の通り、令和元年(2019年)の庁内の統合型GISの運用開始後、市民投稿型の道路損傷等通報システムを実装し、「奈良市地図情報公開サイト」(以下「公開型GIS」)の機能拡張を行いました。さらに公園施設損傷等通報システムも追加しました。
統合型GIS
平成30年(2018年)6月 RFI実施
平成31年(2019年)4月 入札公告
令和元年(2019年)5月 業者選定・システム構築開始
令和元年(2019年)10月 運用開始
道路損傷等通報システム
令和2年(2020年)7月 運用開始
奈良市地図情報公開サイト(公開型GIS)
令和2年(2020年)12月 運用開始
公園施設損傷等通報システム
令和5年(2023年)7月 運用開始
システム構成図
公開型GIS/道路損傷等通報システムの導入
市民から、道路維持課あてに市道の穴ぼこや街路灯の不点灯についての通報が電話で年間約1,000件あり、場所や損傷状況の正確な把握が出来ず、対応に時間を要しており、通報システムの検討を始めていました。
インフォマティクスの公開型GISには市民通報機能もあり、奈良市も道路の損傷を市民が投稿する「道路損傷等通報システム」を導入することになりました。庁内の統合型GISとデータ連携できること、個人情報を入力しなくてすむこと、アップロードする写真を編集できること、アプリでなくブラウザ上でできることも評価されました。
さらに、令和2年(2020年)12月にはより使いやすく、市が保有する様々な地図情報を公開できる仕組みへと機能拡張し、公開型GISのコンテンツの一部として通報システムを位置付けることになりました。
システムへの評価
令和2年(2020年)7月1日より運用開始された道路損傷等通報システムの導入により、地図上に通報情報が表示され、対応状況(対応中/解決済等)の確認が可能となりました。正確な位置が写真とともに把握できることで、通報から補修までにかかる時間を短縮することができました。また、統合型GISで庁内共有できることで、市の情報(認定路線・街路灯)と通報地点を重ね合わせて、市道以外の道路の情報提供も関係部署に迅速に連絡できるようになりました。
令和5年(2023 年)7月現在、公開型GISには地番図、通学区域、移動販売場所など27種類合計約351件の多様な地図が公開されています。市職員が自ら地図を編集し、公開型GISに地図を掲載するなど、デジタル地図の扱いに慣れてきた効果があるとのことです。
道路損傷等通報システム/公園施設損傷等通報システムイメージ
奈良市地図情報公開サイト(シンプル版)
奈良市地図情報公開サイト(高機能版)
公園施設損傷等通報システム
導入効果
道路損傷等通報システムの導入後、市長による発表や市民向けに広報したこともあり、従来の電話以外にインターネットによる通報が追加され、道路損傷への対応件数は増加。住民サービスをより向上させることができました。
道路損傷等通報件数
令和元年度(導入前) 電話 1,467件
令和2年度(導入後) 電話 1,772件 システム投稿 392件
公開型GIS(「奈良市地図情報公開サイト」) アクセス数 ※ ※ 全体アクセス数合計(庁内からのアクセスも含む)
令和3年度(2021年度) 124,404件
令和4年度(2022年度) 134,575件
公開型GIS(「奈良市地図情報公開サイト」)地図種類数
令和3年度(2021年度)4 月 21種類
令和4年度(2022年度)4 月 24種類
令和5年度(2023年度)4 月 26種類
本システムは、令和4年(2022年)、デジタル庁が実施する、デジタル田園都市国家構想の実現に向けた優れた取組みを選出する「夏のDigi田甲子園(内閣官房ホームページ)」に奈良県代表の事例として紹介されました。
今後の展望
令和5年(2023年)7月には公開型GISに公園遊具の損傷等を受け付ける「公園施設損傷通報システム」を新たに追加するなど、システムの拡張性を確保しています。
今後はさらに庁内のニーズを調査し、追加機能について検討したいと考えています。
記載されている会社名、製品名は各社の登録商標または商標です。
本記事は2023年7月現在の情報を元に制作されたものです。閲覧時には変更されている場合がありますのでご了承ください。