歴史街道推進協議会

歴史街道推進協議会 広報・総務担当 課長 稲永明子 様

関西には、国宝や重要文化財の約半数以上が集積しており、姫路城・法隆寺、京都・奈良、紀伊半島と、5つの世界遺産を有する、まさに歴史文化の宝庫と言える地域である。この関西から国内外に向けて日本の歴史文化の魅力を発信したいという思いから、「歴史街道プロジェクト」がスタート。歴史街道推進協議会では、GISを利用したデータベースを構築し、プロジェクトに関わる各自治体や地域間での情報共有化を図っている。


歴史街道プロジェクトについて

300kmにおよぶメインルート「歴史街道」上には、多くの日本の歴史舞台が点在しており、このルートを巡ることで、楽しみながら日本の歴史や文化を体感できるよう、歴史街道推進協議会では各種の整備事業・PR活動を実施している。

■歴史街道プロジェクトの目標
以下の3つをプロジェクトの目標とし、ソフト、ハード両面の事業を官民が一体となって推進している。
・日本文化の発信基地づくり
・歴史文化を活かした地域づくり
・新しい余暇ゾーンづくり

「歴史街道推進協議会が目指す歴史街道の整備は、日本の歴史という時間軸でつながれた、世界唯一のブランドともなるルート観光づくり、壮大な歴史テーマパークづくりへの挑戦でもありこの地域に住む人々が長い歴史の中で、先人から受け継いできた「文化」を自分たちの現在に結びつけ、地域の未来に結び付けていく「地域づくり」でもあるのです。歴史街道づくりの推進は、関西が、そして日本が、後世に伝えるべき誇りあるプロジェクトです。」(歴史街道Webサイトより)
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導入の背景

1991年4月、関係省庁、各種団体、民間企業、自治体など多数の参画団体から成る歴史街道推進協議会が発足し、伊勢・飛鳥・奈良・京都・大阪・神戸を結ぶ300kmのメインルートと各地域の個性豊かな歴史をテーマにした3つのネットワークを「歴史街道」として設定。以来、歴史街道推進協議会は、より多くの人々に日本の歴史や文化を体感してもらえるようルートを整備し国内外にアピールすべく、相互に連携しながら、さまざまな事業を展開してきた。

多数の団体間で連携して事業を行うにあたり、以下のような課題が浮かび上がった。

観光とまちづくり
観光はまちづくりにつながり、住民参加型のものが求められる
地域住民に地域のことを知ってもらう必要がある。
「街道」「人物」「事件」など、テーマで連携して物語を作っていきたい
複数データベースの情報の共有化と活用
既存データの活用、および共通フォームへの変更
複数存在するデータベースのメンテナンスが大変。更新が1ケ所でできるよう、情報の一元化が必要
他の地域との相互情報発信が必要
発信情報の内容
テーマ、目的地を絞り、情報の羅列ではなく、中味を検討。地元ならではのリアルタイム情報の発信
ルート設定、アクセスなど、すぐに使える地元独自の情報提供

上記課題を解決するために、GISを導入し、広域で利用する共有データベースを構築することについて検討を開始した。


システム選定のポイント

平成19年度、国からの受託事業の一環で実施した「歴史・文化資源に関する情報及びそれらの地域資源を活用した地域づくりに関する情報をとりまとめたデータベース構築のための基本的な枠組みを検討する調査」をきっかけとして、GISの導入検討を開始。検討の過程で、様々なデータを有機的に活用できる仕組み、および、今後一般へ普及していくであろうと思われるキーワードが「地点情報」であることが出てきた。その点をクリアできるGISソフトとしてSISを導入した。


運用

広域データベース構築の基本的な考え方は以下のとおりである。
1 まちづくり・歴史文化の特徴付けができるよう項目や属性を整理
施設をはじめ、すべての歴史文化財は、場所や時代といった特徴的な情報(属性情報)を持っている。時代をさかのぼるほど地図の正確性が低くなるため、把握できる範囲で、さまざまな視点に応じた項目や属性を洗い出して整理する必要がある。
2 あらゆる情報をGIS(地図情報システム)へ展開
同じ項目でも、地図の利用目的によって縮尺や表現が異なるため、紙地図ではなくGIS(地理情報システム)が必要となる。
3 データ更新の継続性
利用のみならず、更新も継続して行えるようにしたい。そのためにも、更新作業が容易であることが重要となる。

GISを利用した広域データベースの構築・活用は、まだ初期の段階である。既に独自のデータベースを持っている参画団体も多く、新たなデータベース構築についての必要性や作業分担、費用の捻出など、多くの課題が残されている。

しかし、日本の歴史や文化を再認識し世界へ情報発信していくには、GISを使ったデータベースを軸とする情報の共有化や利活用を一段上のフェーズに進めることが不可欠、と稲永氏は語る。

キーワードによる情報のカテゴリ分け例
主題図の切り替え

キーワードによる情報のカテゴリ分け例

主題図の切り替え

   
背景地図の切り替え
歴史資源情報のカテゴリ表示と管理方法
背景地図の切り替え
歴史資源情報のカテゴリ表示と管理方法

導入効果

庁内には地図を使った業務が多くある。なかでも、住所で管理する多数の一覧表などを紙地図上に手書きし管理していたが、地図更新時の転記作業がままならず、情報が更新されないまま古い地図を使い続ける原因となっていた。システムの導入により、そういった手書きによる転記作業が削減されて情報の可用性が増した。

上記のほか、以下のような導入効果が得られた。
・すべての部署が常に最新の住宅地図を利用できるようになった。
・任意のスケールや範囲を指定して地図を作成できるようになった。
・事業課が所有する地図データを、適切な閲覧権限のもとに他部署でも利用できるようになった。
・地図業務全般に関して利便性が向上した。


今後の展望

今後の展望として、稲永氏は以下のような内容を考えている。

国郡境界が閲覧できるような仕組みを構築 →現在の府県・市町村の圏域分けではわかりづらい文化圏や人の動きが見えてくる。
 
現在の府県・市町村の圏域分けではわかりづらい文化圏や人の動きが見えてくる
   
名所図会と現在の風景を比較 →都市計画に際し、歴史的景観を守る意識を共有できる。
「時代」を指定して史跡等を表示する →古地図との比較により、「地名の由来」などその地域の階層的な歴史の流れを知ることができる。
 
古地図との比較により、「地名の由来」などその地域の階層的な歴史の流れを知ることができる
   
都市化前の地図と歴史資産を重ね合わせることで、歴史的背景の考察が可能になるため、背景地図として古地図を選択できるようにしたい。

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