ごあいさつ

はじめに

空間情報シンポジウムは、1996年にスタートし、今年で20年目になります。1995年は、阪神淡路大震災と地下鉄サリン事件が発生した年で、 防災・防犯を見直す契機となりました。IT業界では、Windows95がリリースされ、本格的なPC時代が到来した時期でもあります。第一回のシンポジウムでは、 震災復興支援におけるGIS利用事例の発表や、PCでの製品紹介が行われました。

この20年間、多くの先生方やユーザー様の事例紹介を中心に回を重ね、シンポジウムは空間情報システム活用の議論の場となってきています。

空間情報システムは、実空間をデジタル化し、現状、計画、各種シミュレーションなどをモデル化して、ビジュアルに議論を進めることを可能にするツールです。 システムの環境も、デスクトップPCから、インターネット、モバイルへと拡大し、より高速に、より正確に、データや分析結果を表示できるようになりました。 弊社の取り組みを振り返ると、空間情報システムは、空間と時間と人間を様々な視点で考えるコンピュータサービスであることを強く感じます。 つまり、我々の生活の根源を考えさせてくれるようなテーマが無限に広がっているということです。

時空を越えて

空間情報シンポジウム20年目の今年は、「時」を強く意識しました。戦後70年となる今年、第二次世界大戦中に沈没した「戦艦武蔵」の発見がありました。 また、優れた江戸の美術品が、流転の末に発見されるという話題もありました。60余年ぶりに発見され、岡田美術館で公開された喜多川歌麿の大作「深川の雪」や、 100年ぶりに発見され、現在建設中のすみだ北斎美術館で展示されることになった葛飾北斎の傑作「隅田川両岸景色図巻」がそれにあたります。美術品は歴史とともに 文化的な価値が高まり、「時は金なり」の言葉どおり、北斎の図巻も約1億5千万円で取引されたといいます。この空白の時間には、偶然ではない何らかの企みを感じて しまいますが、貴重な文化財の公開は喜ばしいことだと思います。

一方、ITにおける時間的な価値は何でしょうか?ムーアの法則が公表されて50年になります。コンピュータパワーは、その指標に従ってとてつもない処理が可能になりました。 つまり、能力の向上とともに、古い機器は価値を失い廃棄される運命にあります。「時は能力・パワーを生み出すもの」として、人間の大きな武器になっています。 そのため、人間の仕事の質も変化し、消滅する職種も出てくるなど、今後も人間の仕事をコンピュータ技術が代替していくことが予想されます。

都市で時間とともに増加する資産とは何でしょうか?工業化により、快適な空間や便利な都市が出現し、やはり都市への人口集中は進んでいます。 しかし、都市のインフラや建物には、メンテナンスや取り替えが必要で、それなしで価値を維持し発展することはできません。 そのためには、都市空間の状況を把握し、計画的に保守を行うことが必要です。そこでは、コンピュータ技術、空間情報処理が重要な役割を果たします。 これは、今後の空間情報システムの価値の変遷とともに、空間情報シンポジウムで議論すべきテーマなのではないでしょうか。

継続は力なり

弊社は、空間情報を扱う専門企業として、この分野の技術を追求し、優れた活用方法を普及させていくことを使命として今後も活動を継続してまいります。

皆さまとともに歩んできたこの空間情報シンポジウムが、これからも長く続いていくことを願っています。

2015年 夏 三原正一




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